誰かを想うからこそ厳しくしてやらう、
そう思ってできる人は立派な人だと思います。
わたしはわるく思われてはいやです。
愛想笑いですませて、信用ならないやつだと軽く見られて、けれどやっぱり真実に愛情深くいることよりは、そちらの方がずっと良い。
こわいからです。
お友達が誰かから、本当のことを言われてぎょっと目を剥くあの瞬間。
それが、とても恐ろしいのです。
よくもまあ、そんな真っ正直なことが言えたものだと、言ってのけたご本人を少し眩しいような目つきで眺めたりもするのですが、けれど言われた人はぎらぎら傷ついて、太刀を向けたその人を食い殺したいほど憎むのです。
わたしは、
そんなのは、
いやです。
食い殺されるのも、憎まれるのも、ぎゅっと睨まれるのですら、いやなのです。
お世辞が上手だと褒められたいのです。
ためにならないことばかり、一生懸命に並べてたいのです。
のぼせ上がったその人が、どこかで転がり落ちたとしても。
助けにいかずにすむくらい、薄情者でいたいのです。
力持ちな人は、力こぶで生きています。
物知りな人は、無知を笑うことで生きています。
優しげな人は不幸な人を見つけるのがうまく、
不幸な人は世の中を暗くとらえるのがうまい。
そういう色色な生き方を、
あっぱれでございます、
などと褒めて生きるこのわたしを、
世間の人様はいったい何と呼ばわるのでしょうか。
りっすん、賢いどなたかは、もちろん知っているのでしょうね。