2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧
名前はとても不思議なものです。 生まれてから死ぬまで、現代にっぽん人は、一生涯ひとつかふたつの名前を使い倒して生きていくのだ、というのが、私はにわかに信じがたい。 例えば男の子という種類に生まれると、余程のことがない限り人生を一色の、唯一絶…
私は記憶。 地上の滅びたシーンたちが、私の中にまとまっている。 スケッチブックのように綴じられて。 あなたは時間。 私を切り取り、選り好んで、参照する。 美しいシーンを増やすのが、あなたの仕事。 そして私たちは人間。 世界を未来から過去へと変える…
口説かれるのは退屈。 もっと絶望してください。 自販機のぼたんをおや指で押すみたいに、 手に入れようとする。 無邪気だからやめて。 そんなしぐさは。 きっと不謹慎な人がすてき。 手のひらでこすって。 花を摘むかわりに、 永遠に取り消す。 安全地帯の…
だいじょうぶ、 だいじょうぶと言う君の心臓が血液をこぼす。 殺してくれと鳴き叫んでも、もうだいじょうぶだよ。 殺すかわりに僕は愛す、きみもきみのじんせいも。
「優しさなんて、きぶんの問題。」 小学5年生の君が、宿題のドリルをめくりながら顔も上げずに言い放ったのは夏の終わり。 「大切なものが目に見えないなら、目って何のためにあるの。」 教訓を散りばめたフィクションに悪態をつくことを覚えて、すっかり反…
この秋に離縁する予定の夫へ久々に電話をかけて、夜通し無駄話をした。 無駄話と書いてはみたものの、それが本当に無駄なやり取りだとは露ほども思っていない。 持ち上がる話題やその広がり方がいちいち面白く、次の日もまたお互いに労働や勉学に勤しむ身で…