ようこそ人類、ここは地図。

私たちにおける、素晴らしい座標を

小説

お願い

お願いがあるのだとあなたは言って、覚えていてほしいのだと彼女に生餃子を押し渡す。彼女はまだ仕事中で、雪の散る商店街の黒く冷たい墓石の道にその足が埋められているのです。彼女の23センチの右足と23・5センチの左足は。何を?覚えているべき?わたしは…

2月5日版『夢十夜』

嘘ばかりついているからという理由で、名前をとられた。 とられたのが名前だったのは少々意外な感じで、困ることもないだろうと3年ばかりほったらかしておいた。一向悩ましいことも起こらない。あいかわらず嘘を売り売りして暮らしている。 ところがある夕暮…

お日様不在の雪氷学。

雪と氷の専門家に会うために、電車に乗って。石の結晶ロードをかちりかちりと踏みしめて土曜日。手に入れたばかりの「雪氷辞典」にその人は、名前を連ねているのだった。 オーロラの仕組みや、極地でのサークル活動、新聞部、栽培部、ごはん部、けんか仲裁部…