ようこそ人類、ここは地図。

私たちにおける、素晴らしい座標を

2017-07-12から1日間の記事一覧

人間は定型文をはみ出すし、はみ出してます。

どうして器や彫刻や、絵画、と呼ばれるものを人は愛でるのか。 合理性という観測地点から見れば、何の役に立つの、というその行為を人類史は延々と続けて、まだやっているのか。 ときどき、名画をそのプライスでしか鑑賞できぬ人に問われて、その人に何をど…

家族、店じまい。

ふたりの子どもたちが、家族という大きなひと塊から熟した実のようにほろりと巣立ち、アスファルトを持ち上げる緑が深々と繁る庭へと目をやれば、夢中でそこを駆け回っていた獣はうすく小さな白い骨の破片になって、もう動かない。編み合わされた2人の男女の…

食べられるカジノを作ることにした。

どうにかならないのか。椎茸の裏っ側は。も少しタフでいてほしい。椎茸の裏っ側よ。やけに細かい溝みたいなのがルーレットの円盤そっくりに規則正しくひしめいているんだ。椎茸の裏っ側には。そのくせ溝と溝とを溝たらしめている壁が象牙色にやさしくふわふ…

池澤夏樹『スティル・ライフ』世界の分解に耳を澄ます

1冊の本が世界のすべてを変えてしまう。 正確には、それまで用いていたのは全く別の視点を提供されることによって、そこから世界の見え方がガラリと根本的に変わってしまう。 そういう出来事は割とよくある。 池澤夏樹の『スティル・ライフ』は、まさにそん…