宇宙人のきもち、を考えるときの私は、 だいたい地球人のきもち、を考えてしまっているのです。
宇宙人のきもち、を考えるときのいちばんのちゅういは、宇宙人は地球人にあらず。
そのことをちゃんと、よくよく、考えること。
それにつきるのだ、とファミマの店長さんは言います。
ファミマの店長さんは、北千住のファミリーマートではたらいています。
北千住のファミリーマートにも、ときどき、宇宙人が来るそうです。
宇宙人が来たな、というときには、店長さんもバイトさんも、心の中でいろいろなことを思うらしいです。
「UFOはどこにとめてきたのかな」
とか
「今日もおでんを買うのだろうか」
などなど。
もちろん、口では
「いらっしゃいませぇ」
とか
「お弁当はあたためますか?」
などと言ったりします。
そういえば、こないだ、バイトさんがうっかりお箸を入れ忘れたら、 宇宙人が泣いてしまった、と店長さんがなげいていました。
やっぱり宇宙人のきもち、はひとすじなわではいかないよ、
ぼくや君みたいな、その、地球人とおなじように考えていてはいけないよ、 とちょっと声を落として、 店長さんは、なんだかむずかしいかたちの、ため息のようなかたまりをひとつ、口の中から出してテーブルの上に置いたのでした。