長いお付き合いになる女優さんで、現在は高校生の演劇指導も手がける伊都子ちゃんからお声がかかった。
「秘密のワークショップを開催しまっす!
よかったら見学にお越しやす!!
ってか問答無用でお越しやんす!!じょわっ!!」
おお、何だか気合入ってるな。
ただでさえ地球温暖化でバテ気味サマーなのに。
あいかわらず平熱高いぜ…伊都子。
そんなわけで、お言葉に甘えて潜入してきた秘密のワークショップ。
参加者は、演技経験のある10代の少女たち(今はみなさん大学生)。
彼女たちは中学・高校の放課後を演劇部員としてひた過ごし、東京都の高校演劇大会などにも出場した経験を持つ。
演劇の大会。。。
なんかすごい響きだ。
高校演劇も「演劇の大会」なる代物も、私にとってはまったくもって未知の世界。
野田秀樹に憧れながら高校時代は飼い犬に『ハムレット』を読み聞かせて孤独をやり過ごしていた私が舞台を始めたのはようやくアラサーになってからですぞ?
それが、中高生で、えんげき、えんげきのたいかい、ですって。
あたくし場違いじゃないかしら、ふふふ、と出かけていったスタジオにて、さっそく参加メンバーを紹介される。
各々の属性を説明するのに、出てくる単語がバイトとかサークルとか必修科目とか。
若い!ハイティーン、若いよ!!
とおじさんみたいな感動と動揺を隠しつつ、私も自己紹介などして見学を開始。
そして役者としての顔しか知らなかった伊都ちゃんが、演出家として場を仕切っている新鮮さもさることながら、参加している少女たちにすっかり魅了されてしまう。
彼女たちの熱量に、うおいと圧倒され。
ちょっとした演出をつけると、わ、反応が素早い。
チューニング力の高さ、気持ち良い。
伊都子ちゃんが連れていこうとする場所まで、たどり着くプロセスが面白い。
自分の演技をしている瞬間と、借り物の演技をしてしまう瞬間と、その未整理な状態でよりよい芝居を探しに行っている感じが、真面目で、素朴で、もどかしく、もっと見たくなる。
キャラクターが立っている、
演者としてのスキル・ポテンシャルが高い、
ちゃんと欲がある、
という役者としての必要最低条件にプラスアルファで、
「新しい世界に連れていってくれそう」
という予感。
演出家にとって役者選びの肝とも言える、その予感を彼女たちは猛烈に掻き立てる。
そんなこんなで、面白がってる内にあっという間にワークショップが終了。
良いもの見せてもらった〜と伊都ちゃんに感謝しながら、打ち上げにも参加。
18歳がノンアルコールで私の人生相談に乗ってくれる。
国語数学理科社会英語、演劇。
そんな感じでナチュラルに演劇と溶け合った学校生活を過ごした少女たち。
また私を新しい世界に連れていって欲しいよ、と心の中で囁きながら、終電間際その背中に手を降る。
演じること、新しい景色に目を凝らすこと、見えないものを肉体に落とし込んで人に見せること。
その楽しさとむずかしさをもっともっと味わって欲しいな、と年上らしく、思った夜だった。