ようこそ人類、ここは地図。

私たちにおける、素晴らしい座標を

お日様不在の雪氷学。

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雪と氷の専門家に会うために、電車に乗って。
石の結晶ロードをかちりかちりと踏みしめて土曜日。
手に入れたばかりの「雪氷辞典」にその人は、名前を連ねているのだった。

 

オーロラの仕組みや、極地でのサークル活動、新聞部、栽培部、ごはん部、けんか仲裁部、南極大陸をジグザグに飛ぶ自動操縦飛行機があそこに、などと、指先をあっちへこっちへとレクチャー。
そして、あなたを連れてきたのはどんな不思議なのでしょうと、ぐるりと展示室を見て、あれか、と一枚の地図を発見した様子。あれです。と心に思いながら、その人についていく。

それは地球の神秘をあらわす謎の地図。

ちょっと私が最近夢中な、あの地図。
実はね、この湖の名前をつけたのは、わたしなのさ。


ふふふ。とは言わなかったけれど、その人は。

ふふふ、という感じなのだろうと私は察知しました。


氷の下に埋まっている太古の湖の中には、何億年も昔の色が、空気が、温度が、音が、溶けて溶けて溶けているのだ。
もやもやと溶けて。
こんこんと溶けて。


ああ好きですこの時間が、と思いながらその人を見ると、火星の隕石がよくとれる場所はここ、などとまた指を動かして、ちっとも私の好奇心の行方には無頓着。彼は。

それから?
これはサービスですよ、と言って秘密の立体模型で秘密の氷の話をしてくれました。
わたしがサービスという言葉の意味を考えているうちにお話はどんどんと進んで、うちの研究所の内線の6番が地球の自転軸のほとりにつながっているのだ、などと、ファンタジーっぽいことをおっしゃるのですが、それが現代科学の事実なのですから。すごいのだわ。


東京のへんぴな、裁判所とか、区役所とか、あとはバス停、くらいしかない殺風景な場所から、地球のてっぺんにある、オーロラとかうじゃうじゃ出る、冷凍庫の最中、みたいな地点にハローハローハロー可能。なんですって。

どっひゃ。