ようこそ人類、ここは地図。

2月5日、ユミのブログ。

葛藤を終える。その自由にメルシー。

生きる事はよく分からない。 その分からなさを時に心地よく、時に心地悪く、味わう事。 それが人の姿形と魂をもって、この世に在ることの醍醐味なのかもしれない。 半年ほど前まで、自分の生命や肉体や魂までも、「生活の安定」だとか「将来」といった漠たる…

作品タイトル『ホシナ』

作品タイトル『ホシナ』 スケッチブックにサインペンと色鉛筆で。

ハーレーダビッドソンに乗った修道女

この1ヶ月ほど、制御不能の夏休みを過ごしていた。 計画は頓挫し、もくろみは破れ、すべてに疲れ諦めた私は、 「ただ流されていこう」 そんな漠たる想いだけで、たくさんの人と出会い、思いがけない場所へと運ばれた。 はじまりは、一体どこだったのか。 も…

作品タイトル『ノウラ』

スケッチ作品『ノウラ』ノートに、ボールペンで。

めくるめく眩暈世界。わたしは船乗り。

この二週間ほど、めまいがやまず、まっすぐと歩けない。 いつも船の上にいるようである。 地面が揺れている。 しばしば地震が起きているのかと間違う。 居合わせた人に尋ねると、揺れてはいない、と答えが返ってくるので、嗚呼これはわたしの肉体だけに起こ…

僕らが旅に出る理由、オノ・ヨーコという人。その3

青森に心惹かれた理由の2つ目を考えていたのだけれど、結局理由というのは後付けかもしれない、などという事をふと思う。 恐山、下北半島、十和田湖、行方不明になっていた八戸のおじさん(野田秀樹の芝居のセリフに出てくる好きなフレーズ)、寺山修司、エ…

作品タイトル『キクナ』

作品タイトル『キクナ』 スケッチブックにサインペンで。

僕らが旅に出る理由、太宰治の青森。その2

大英帝国を差し置いて、どうして青森だったのか。 青森に興味を持ったきっかけは2つあった。 1つ目は津軽半島にある金木(かねぎ)という土地だ。 ここは作家・太宰治の生まれ故郷で、今でも生家の建物が残っている。 一応、前置きしておくと私は太宰治の…

僕らが旅に出る理由、行く先は青森。その1

「どこか遠くに行ってくればいいのに。イギリスとか。」 居候先で家主にそう言われたのは、たしか6月ごろのことだった。 当時の私はこの2年ばかり不慣れな賃金労働を続けた無理がたたって気力・体力ともに衰弱を極めており、ほうほうの体で会社を辞めて独立…

夏籠人間模様、解読絵巻

悩ましきことのつくづく。 ジパングは四季の国がゆえに葉月ともなると都市は砂と石と油の床にずぶと埋まりてどこもかしこも地獄に似た灼熱が常なり。 殊更に人の集うところ人肌くるみたるその温もりども密に集うがゆえに風神様も力及ばず微風そよがすに留ま…

ジュンパ・ラヒリ『停電の夜に』 彼女はシャッターを切る。

ジュンパ・ラヒリさんというインド系アメリカ人作家の短編集『停電の夜に』を、この2カ月くらいをかけて、とぎれとぎれに読んでいる。 内容は決してつまらなくはないのだけれど、一気に飲み干すような読み方ができない類の作品で、ひとつの話を読んでは何日…

20年間のドライブ、私たちの廃墟へ。

週末を利用して、弟と夫と三人で茨城へとドライブをした。 かつて父だった人とその新しい家族、そして私たち姉弟の祖母が暮らす田舎の家を訪ねるためだ。 父と会うのは数年ぶりのことで、4年前に夫となった相手を引き合わせることに私はあまり気乗りがしな…

今夜、音楽にのせてメルシーを。

嵐のように押し寄せる出来事はたましいを運び、また作ること、書くこと、が現在進行形の時間軸とぴたと寄り添う日々が始まっています。 物言うことが怖くなり、雲がゆく速度も、風がつくる模様も、この目には映らない数年間がありました。 そのすぎた歳月の…

村上春樹×市川準『トニー滝谷』例えば漫画のコマ割りをどうやって映像化するのか。

けっこう映画化されている村上春樹 村上春樹の小説は、短編・長編ともに何作か映像化されている。 私も全部を観たことはない。 映画館で観れたのは、『ノルウェイの森』と『トニー滝谷』だけだ。 それでもネットで調べてみると、1981年にはデビュー作『風の…

飽きることは心の新陳代謝。

ひととせの間に1つ2つ、何かに徹底的にのめり込んでは飽きる、という所業を爾来続けて生きている。なかば人生を賭けなんとする、のめり込みのその勢いに、他人様はもうその道の玄人かそうでなくともそこに近しいものを目指して私がその後も現実的にひた邁…

純粋電車行為におけるタブー

電車に乗ると不思議なのだ。本を読んだり、音楽を聴いたりしている人間はいくらでもいるのに、風呂に入ったり、熱心にラジオ体操をしながら電車に乗っている人間というのはまず見かけない。また、ガムを噛みしだく・飴玉をなめ溶かす・ペットボトルのお茶を…

人間は定型文をはみ出すし、はみ出してます。

どうして器や彫刻や、絵画、と呼ばれるものを人は愛でるのか。 合理性という観測地点から見れば、何の役に立つの、というその行為を人類史は延々と続けて、まだやっているのか。 ときどき、名画をそのプライスでしか鑑賞できぬ人に問われて、その人に何をど…

家族、店じまい。

ふたりの子どもたちが、家族という大きなひと塊から熟した実のようにほろりと巣立ち、アスファルトを持ち上げる緑が深々と繁る庭へと目をやれば、夢中でそこを駆け回っていた獣はうすく小さな白い骨の破片になって、もう動かない。編み合わされた2人の男女の…

食べられるカジノを作ることにした。

どうにかならないのか。椎茸の裏っ側は。も少しタフでいてほしい。椎茸の裏っ側よ。やけに細かい溝みたいなのがルーレットの円盤そっくりに規則正しくひしめいているんだ。椎茸の裏っ側には。そのくせ溝と溝とを溝たらしめている壁が象牙色にやさしくふわふ…

池澤夏樹『スティル・ライフ』世界の分解に耳を澄ます

1冊の本が世界のすべてを変えてしまう。 正確には、それまで用いていたのは全く別の視点を提供されることによって、そこから世界の見え方がガラリと根本的に変わってしまう。 そういう出来事は割とよくある。 池澤夏樹の『スティル・ライフ』は、まさにそん…

お願い

お願いがあるのだとあなたは言って、覚えていてほしいのだと彼女に生餃子を押し渡す。彼女はまだ仕事中で、雪の散る商店街の黒く冷たい墓石の道にその足が埋められているのです。彼女の23センチの右足と23・5センチの左足は。何を?覚えているべき?わたしは…

『赤い航路』×『ラスト・タンゴ・イン・パリ』 巨匠が作る愛の模型。

ロマン・ポランスキー監督『赤い航路』 ベルナルド・ベルトルッチ監督『ラスト・タンゴ・イン・パリ』 この2作品を日替わりで鑑賞。 性描写が多く直接的であるがゆえに、2作品とも「究極の愛とエロスを描いた問題作!」みたいな紹介をされている。 けれど、…

二胡のきもち、わかるわたし。

今年の冬にやっていたドラマ『カルテット』を夢中で見ていた。 面白くて。 内容は、バイオリン、チェロ、ヴィオラといった弦楽器を奏でる男女4人の物語で、キャストも松たか子、松田龍平、高橋一生、満島ひかり、という手堅く色っぽい顔ぶれ。 (途中からク…

川上弘美『真鶴』 入り口が消える恐ろしさ。

先日の読書会にて、川上弘美さんの小説『真鶴』を取り上げた。 メジャーな芥川賞受賞作『蛇を踏む』だとか、映画化された『センセイの鞄』『ニシノユキヒコの冒険』ではなく、あえて渋く、『真鶴』。 気づいたら知らない場所に立たされている。 そこがいった…

予感!直感!女子大生ワークショップ。

長いお付き合いになる女優さんで、現在は高校生の演劇指導も手がける伊都子ちゃんからお声がかかった。 「秘密のワークショップを開催しまっす! よかったら見学にお越しやす!! ってか問答無用でお越しやんす!!じょわっ!!」 おお、何だか気合入ってる…

2月5日版『夢十夜』

嘘ばかりついているからという理由で、名前をとられた。 とられたのが名前だったのは少々意外な感じで、困ることもないだろうと3年ばかりほったらかしておいた。一向悩ましいことも起こらない。あいかわらず嘘を売り売りして暮らしている。 ところがある夕暮…

内田樹『困難な結婚』 自分と離婚する方法。

タイトル買い!内田樹『困難な結婚』 バツイチ、シングルファーザーにして、信頼のおける現代の語り部。 内田樹さん。(現在は再婚されているのでシングルじゃないけど) 政治から宗教からカルチャーまでを幅広く網羅する内田さんが「結婚」について語る。し…

たとえばゼリー状のまま、人間関係を放置。

人と人とが向き合うことは果たして良いことなのだろうか。 がっちり向き合うと壊れてしまう関係がある。 お互いの立ち位置をはっきりさせよう。 そう思って踏み出した途端、出口なき迷路に投げこまれてしまう。 そんな関係もある。 謎は解けて、犯人が定まり…

お日様不在の雪氷学。

雪と氷の専門家に会うために、電車に乗って。石の結晶ロードをかちりかちりと踏みしめて土曜日。手に入れたばかりの「雪氷辞典」にその人は、名前を連ねているのだった。 オーロラの仕組みや、極地でのサークル活動、新聞部、栽培部、ごはん部、けんか仲裁部…

牧歌的に描くなら、これもまたメルヘン。

晩に食べる米がなくて両親が揉めているなどというのは少女時代ありふれた日常の1コマであったが、今にして思えば家庭経済がそれなりに逼迫していたという事実をよく表している。 経済がうまく回らないとなると、どんな人間も余裕をなくすのは世の習いであろ…